玄海漬は、明治中期創業以来酒粕を使った粕漬けにこだわった商品づくりを心掛けています。
粕漬けとは味噌とならんで日本の伝統食である酒粕を調味した床に、肉・魚・野菜などを漬けた物です。粕漬けの種類には、魚介類の粕漬け・奈良漬け・わさび漬けなどがあります。
玄海漬の粕漬けは、鯨の軟骨をはじめとする魚介類を調味した酒粕に漬け込み、酒粕ともに召し上がっていただく粕漬けです。
ですから粕漬けを作るにあたっても創業以来のこだわりがあります。
今回、このこだわりについてお伝えします。
その一 酒粕について
酒粕とは
酒粕は、日本酒を作る際に出る副産物で、日本酒造りの最盛期である冬はもっとも新鮮な酒粕が出回る季節です。日本酒は、蒸米に酵母、麹菌、水を加えて仕込んだもろみを16日前後熟成させ、それを圧搾ろ過したもので、酒粕は、圧搾後に残った固形分です。酒粕は、8~10%のアルコールを含み、米由来のデンプン、タンパク質、ペプチド、アミノ酸と麹菌、酵母等の菌体及びそれらの微生物が生成したビタミンB₁、B₂、葉酸等の数多くの2次代謝産物がふくまれており、栄養学的にも優れた発酵食品で食物繊維も多く含まれています。
酒粕は主に「板粕」と「ばら粕」、「練り粕」の3種類があります。「板粕」は日本酒をしぼった後の酒粕を圧縮して板状にしたもので、水分量が少なく固いので、しっかり水でふやかしたり練ったりしてから使います。「ばら粕」は、板状にならずに崩れてしまった酒粕を集めたもので、板粕よりも柔らかく使いやすいのが特徴で、おやつ作りにも万能に使えます。「練り粕」は、酒粕を練り合わせて柔らかいペースト状に加工したものです。ばら粕よりもさらに溶けやすく、生地と混ざりやすいのでおやつ作りにも最適です。
日本酒の種類
日本酒(にほんしゅ)は、日本独自の伝統的なお酒で、さまざまな種類があります。日本酒は米、水、酵母、そして麹(こうじ)と呼ばれる麹菌が作用することで製造されます。日本酒は、風味、香り、甘味、辛口、酒度などの特性によって異なる種類に分類されます。以下は一般的な日本酒の種類です。
純米酒(じゅんまいしゅ): これは純粋な米と麹から作られる日本酒で、他のアルコールを混ぜずに製造されます。純米酒はさっぱりとした味わいが特徴です。
大吟醸酒(だいぎんじょうしゅ): これは非常に高品質な日本酒で、精米歩合が非常に高く、純米大吟醸酒としてさらに高級なものもあります。フルーティーで香り豊かな味わいが特徴です。
吟醸酒(ぎんじょうしゅ): 大吟醸酒よりも精米歩合はやや高めですが、高品質な日本酒で、洗練された味わいを持ちます。
本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ): 一般的な日本酒で、精米歩合が比較的低く、よりコクがある味わいが特徴です。
「普通酒」(ふつうしゅ) :一般的な日本酒の一種で、日本国内で最も広く製造・販売されているカテゴリーの日本酒です。普通酒は、他の特定の日本酒カテゴリー(たとえば、純米酒、大吟醸酒など)に比べて製造プロセスにおける制約が緩やかで、幅広いスタイルの酒が該当します。
大吟醸酒・吟醸酒の酒粕は、そのまま食すには美味しいですが、酒精が強いため
軟らかく、野菜が硬くなってしまうのと、野菜からでる塩汁でべちゃべちゃになってしまいます。玄海漬では、この酒粕に水飴等で味付けをしていくため 純米酒・本醸造酒、あるいは普通酒の酒粕を使用しています。
その二 熟成
玄海漬ではこの「板粕」と「ばら粕」をタンクに踏み込んで2~3ヶ月発酵させます。
踏み込む事によって酒粕の中の空気を押し出し、空気に触れる事によって生ずる酸化等の味の劣化を防ぎます。
発酵した酒粕は、ブドウ糖とアミノ酸が反応(メーラード反応)し、ピンクそして黄金色になっていきます。味も、新粕と違い、酵素の働きでデンプンがブドウ糖になり、
酵母菌が造りだしたアミノ酸も増え、えもいえぬ熟成した味になります。
その三 味付け
この発酵させた酒粕に水あめ砂糖等を加えて粕床を作ります。玄海漬では創業当時から引き継がれてきた配合割合をもとに味付けをしております。